『AIでよみがえる 美空ひばり』と題されたNHKスペシャルを見て
感動すると共に、恐怖を感じた。
AIとはartificial intelligenceの略で日本語で人工知能という意味だ。
この人工知能の技術を使って『故・美空ひばり』さんを蘇らせようという企画だ。
どういうことか分かったところで、とりあえずこの動画を見て欲しい。
https://youtu.be/j5rlcxAHmQo
どうでしたか?
実際に会って生で歌声を聞いたことはありませんが、僕にはYouTubeやテレビで流れる、いつもの『美空ひばり』さんにしか感じなかった。
技術に驚く前に、人類がここまで来たのか…という衝撃と同時に
不安という意味で鳥肌が立った。なんども言うようにどう見ても
その画面に映る人、声が『美空ひばり』さんだったからだ。
AIの技術について
(©共同通信社)
CG映像の美空ひばりさんが歌う新曲『あれから』はどう作られたのだろうか。
この歌声の再現にはディープラーニング(深層学習)を活用したヤマハの歌声合成技術が使用された。
その名も『VOCALOID:AI』だ。
分かりにくい方に例を出すと、以前流行った初音ミクも同じようなボーカロイドの技術だ。イメージ付きやすいだろうか。
しかし今回はそれに加え、美空ひばりの声や特徴を覚えさせなければいけなかった。
なので、美空ひばりの歌唱データを元に声・癖・話し方・歌い方をボーカロイドに覚えさせた。
また『※ゆっくりボイス』のようにぎこちない、明らかな機械音になってしまってはいけないので、何度もチューニングを行った。
そう、生きている美空ひばりさんに近づけるように。
(※ゆっくりボイスとは有名なテキストを読み上げる機械音のこと)
AIが人の動きや声を覚える
ステージ上で振舞う美空ひばりさんの振り付けは天童よしみさんが。
新曲『あれから』は川の流れのようにを書いた人でも有名な秋元康さんが。
衣装デザインは生前の美空さんの担当をしていたファッションデザイナーの森英恵さんが務めた。
昔から美空ひばりさんと関わってきた人たちがAIの作成に関われば
完成度の高い物になるのも頷ける。ただそれにしても気持ち悪いくらい声も動きも本人だ。
動画最後の方に『技術の使い方を間違えたら危うい面もある』との意見もあったが、確かに間違いないと思った。
今考えただけで声をそっくりにできるのなら、また新しいオレオレ詐欺の手口が出てもおかしくないなと思った。
しかしこれくらいならまだかわいい。
もう少し頭を捻ってしまったら、もっと凶悪な犯罪に使えてしまうのではないだろうかとも考えたからだ。
使い方次第で良くも悪くも働いてしまうのがテクノロジーだ…。
人はAIによって生き続ける
美空ひばりさんのAIは良い例にすぎない。
というのも声や動きだけではなく、その人の脳までもAI化できてしまったらどうだろうか。
これを映像を見た瞬間に考えたから僕は怖かったのだ。
相対性理論を考えたアインシュタイン。
サイコパスで凶悪な犯罪者。
アップルの創業者スティーブ・ジョブズ。
これらの人の考えを解析してAIに教えたらどうなるだろうか。
アインシュタインはまた新しい理論でも発見するのだろうか。
サイコパスで凶悪な犯罪者は一般の人が思いつかないような残虐な犯罪を行ってしまうのだろうか。
スティーブ・ジョブズはiPhoneより優れた画期的なデザインの電子機器を発明するのだろうか。
など考えたら恐ろしかった。
ターミネーターのような世界が来ると言って、そんな訳ないなんて言えないのだ。
まとめ
AIやその他テクノロジーすべて同じように言えることだが、勝手にひょんなことから発明できたわけではない。
僕たち人間が『欲しい』や『こんな技術があれば…』と思ったから作ったのだ。
科学技術には僕たち人間の想いが詰まっている。テクノロジーはこれからを創る未来だ。
これからの21世紀。
テクノロジーが進化して、人が亡くなったとしてもAIとしてその人は生き続けます。
驚きもあり怖い話だが、ほとんど完成された技術だ。例えば近い未来、AIのスタッフ、AIの歌手らAIによる僕たちのための番組が作られることもあるだろう。
楽しみな反面、今まで便利な世の中がこれほどに怖いと思ったことはない。
テクノロジーの進化が先に来ることはない。なぜなら人間の想いがあって、そこに新しいテクノロジーが生まれるからだ。
つまり僕が言いたいことはこうだ。
人間の良い想いや悪い想いが、僕たちの今後の未来を左右している。
進化しなければならないのはテクノロジーではない。いつの日も僕たち『人間』だ。